6月 24 日(土)に令和6年度 総会・第1回研修会が千代田区立麹町中学校で行
われました。 総会においては、 全議案を承認いただき、最後に新役員紹介と会長
挨拶をもって、終了いたしました。ご協力いただき、どうもありがとうございました。

第 1 回研修会は、千代田区教育委員会教育長 堀米 孝尚氏をお招きし「生徒指導提要改訂と学校経営~いじめ・不登校にどう関わるか~」という演題でご講演をいただきました。
主な内容は、
1 生徒指導提要について
(1) 生徒指導は「生き方の指導」であり、学習指導とは両輪ではない。生徒   
   指導の上に学習指導が成り立つ。 また、生徒指導の目的を達成するため
   には、児童生徒一人一人が「自己指導能力」を身に付けることが重要であ
   る。
(2) 生徒指導の構造として、リアクティブ(即応的・継続的)な生徒指導より
   も、プロアクティブ(常態的・先行的)な生徒指導を重視する。どのような集
   団になるのか、教員が予想しながら指導・対応する必要がある。
(3) QU(心理検査)を実施し、学級経営支援アドバイザーより助言しても   
   らうとよい。結果を分析して得られた情報を活用し、学級の様子を把握する。
(4) 生徒指導を実践する上で、「児童生徒の権利条約の四つの原則」を理解
   しておく。
   ① 児童生徒にいかなる差別もしないこと。
   ② 児童生徒にとって最もよいことを第一に考えること。
   ③ 児童生徒の命や生存、発達が保障されること。
   ④ 児童生徒は自由に自分の意見を表明する権利をもっていること。
(5) 包括的な支援体制が重要であり、人・もの・金を有機的につなげて、生徒
   指導と教育相談が一体となったチーム支援を進めていく。

2 いじめについて
(1) いじめ及びいじめ重大事態の定義をしっかり押さえておくこと。特にいじめが
   原因で「不登校」に至ることは重大事態であり、その対処には「記録」が重
   要である。いじめ重大事態への対処の一つに「重大事態に係る事実
   関係を明確にするための調査の実施又は学校の設置者が行う調査への協
   力」(東京都いじめ防止対策推進基本方針)がある。この調査の実施に
   あたっては、「いじめではないか」と疑って調査を行う。
   この「前提」を大事にする。
(2) 千代田区の過去5年間のいじめ発生件数は増加傾向にあるが、いじめの    
   発生件数に一喜一憂しなくてもよい。教員が職員室内で安心して話せるよ  
   うになることが大事である。また、いじめの様態としては、
   「冷やかしからかい」が多く、注意すべき点である。
   いじめ加害者の心への対応にもスクールカウンセラーの対応が必要である。
(3) 「東京都いじめ防止対策推進基本方針」を押さえておく。

3 不登校について
(1) 文部科学省による令和5年度実施の問行調査(「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」)の変更点として、「無気力・不安」の項目をなくした。その理由は「解決策がない」からであろう。では「不安」の子にはどう対応するか、深堀りすると「集団への不安」が多い。その詳細を分析して解決策を考えなければならない。
(2) 教室不適応の要 因の詳細も「集団生活への不安」が多い傾向にある。千代田区では、児童生徒用タブレットに設定の心身の健康観察ツール「心の天気」を活用している。これにより、教員は子どもたちの心身の変化の早期発見に努め、SOSを見逃さないように努めている。これは毎日行うものであり、このようなことにも生徒用タブレットを活用するとよい。
(3) 千代田区の各公立小中学校に設置の校内教育支援センター(以下、「SSR」)では、畳のスペースやバランスボールなどを置いている。通常の教室仕様の机といすは避けたい。また、そこには「スクールライフサポーター」を付けている。そこに人がいることが大事であり、また、その人がどういう人かも大事である。
(4) ある校長の報告によると、SSRに通う子どもは完璧を求めている子が多い。学級担任がそこに顔を出したり、教室復帰後にスクールライフサポーターが教室での様子も見たりするな どして、きめ細やかに対応できるネットワークが必要である。
(5) (千代田区内各小中学校のSSRを写真で紹介。)個別学習スペースや談話スペース、クールダウンやリラックスできる空間などを各校で工夫して設置している。
(6) 千代田区が運営している「はくちょう教室」(小中学生を対象とした適応指導教室)では、中学生はしっかり学習できるように環境設定を行っている。また、仮想空間「バーチャル・ラーニング・プラットホーム(VLP)を活用して、外部とつながるきっかけ作りに取り組んでいる。引きこもりにさせないことが大事である。
(7) フリースクールとの連携については、フリースクールへの登校を在籍校の「出席扱い」にするためには、そこでの学びが児童生徒の進級や卒業の認定ができる教育内容となっているか、校長はしっかり確認する必要がある。

参加してくださった皆様、誠にありがとうございました。事務局一同感謝申し上げます。今年度も興味深い内容を計画しております。
是非、ご参加ください。 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

なお、講演資料は資料室にUPいたしますので、ダウンロードしてご活用ください。